通信制高校の集中スクーリング体験談
2016/03/25
私はNHK学園高等学校に在籍しており、現在(2016年2月17日)2年次生です。
4か月前の10月、年に一度の「集中スクーリング」に行ってきましたので、その時の体験談をご紹介させて頂きます。
どの辺りが「集中」なのかと言いますと、1年に1度しかスクーリングがない代わりに4日連続で登校がある、という辺りです。
そこで自分が履修している科目ごとに授業を受け、単位修得に必要な分のノルマをクリアしなければなりません。
科目ごとに必要な授業の時間数が違い、同じ科目の授業を2日に分けて受けるということも考えられます。
通信制高校の登校システムに関する詳細は、別ページでご覧ください。
他の通信制高校には見られないシステムかもしれませんが、通信制高校のスクーリング体験談という意味では、他校への入学を考えている方にとっても充分参考になるかと思います。
「教室の雰囲気は?」「授業はどんな風なことをするの?」「苦手な体育の授業が気になる…」そのような疑問をお持ちの方に見て頂きたいページです。
当初は時系列順に書いていこうと思っていたのですが、無駄な文章が増えそうなので科目ごとにご紹介します。
目次
HR (1時間×3)
HRは合わせて3時間分ありましたが、初日のそれはガイダンスや始業式?に近いものでした。
初日だけはネット学習コースの全生徒が体育館に集まり、スクーリングに関する説明などが行われます。
全日制高校でいう「朝礼」に似た雰囲気でして、校長先生の挨拶や校歌斉唱(誰も歌わない)も項目に含まれるのです。
知り合いがいる方もちょこちょこといるようでしたが、大半の生徒は一人で居づらそうに座り、体育館が静まり返ることも少なくありませんでした。
3日目・4日目のHRは初日のそれとは違います。
ごく普通のHRという感じで、教室に集まって担任の先生が簡単な注意事項を話したり、プリントを配ったりするというものです。
学園祭のお知らせ、学校だより、古本募集…等々のプリントが配られます。
■ちょっと解説
HRはもちろん、必修科目でなければ単位に認定されるわけでもありません。
HRを受けることで何が貰えるのかと言うと、1時間分の「特別活動」です。
「特別活動」は進学・卒業に必要な項目であり、1年で10時間以上の活動を行う必要があります。
詳しくは通信制高校のメリット・デメリットの中間辺りをご覧ください。
体育 (2時間×2)
初日のHRで行った体育館が集合場所です。
体育着と体育館履きに着替え、予鈴5分前には私を含めて20人程度の生徒が集まりました。
友達がいる方も多いらしく、半数ほどの人はお喋りをしています。
逆に言えば10人は知り合いがいない様子なので、私も別に居心地の悪さを感じることはありません。
授業開始を知らせるチャイムが鳴り、先生が生徒を集めました。
話を聞いていると、今回のスクーリングでは二日ともバドミントンの授業をするとのこと。
話が終わると隣の人同士でてきとうにペアを組むよう言われ、ストレッチからスタートします。
ストレッチを終えると早速バドミントンの練習がスタート。
ペアを組んだ人と簡単にポンポン打ち合いますが、話すこともないので若干気まずいです。
1日目は試合はせず、練習しているうちに2時間がいつの間にかすぎていました。
2日目、同じように体育館に集まります。
チャイムが鳴ってすぐ授業が始まるかと思いきや、そうはなりませんでした。
体育の先生が学校の近くにある美味しいパン屋さんの話を始め、何故か来ていた他の先生方とお喋りに夢中になっていたからです。
生徒は皆ポカーンですが、先生方は気にする様子もありません。
NHK学園は自由な校風が売りです。
20分ほど経って、思い出したかのように授業がスタートしました。
簡単に前日の復習をした後、早速試合が始まります。
ペア同士のダブルスによる21点マッチの試合ですが、あまり本気でプレーする人もいません。
勝ち負けが成績に関係するということも特にないので、ゆるゆるの雰囲気です。
授業のスタートが遅れたこともあってか、2時間があっという間に感じました。
社会と情報 (2時間)
1日目にあった「社会と情報」の授業ですが、最初の1時間は名刺づくりの方法を学ぶという内容でした。
1人につき1台パソコンが用意され、作り方が書かれたプリントも配られます。
先生から簡単に説明があり、後はプリントを読んで各自頑張ってね、という流れです。
皆黙々と作業をし、早い人は10分程度で名刺を作り終えたようでした。
私はやや苦戦し、授業時間いっぱいでギリギリ完成です。
別に完成しなかったら何かあるという訳ではないですが、何となくやり遂げたいものですよね。
1時間目は名刺づくりの授業でしたが、2時間目は授業内容が変わります。
2時間目は動画の編集方法を学ぶ授業が行われました。
NHKクリエイティブライブラリーというサイトを活用して、動画編集がどのように行われるのか知ることが目的の授業です。
授業では実際に一人一人がアイディアを出し、実際にオリジナル動画を作成します。
発表したり見せ合ったりということは一切ないので、他の方がどのような動画を作成したのかはわかりませんでした。
教室が黙々とした雰囲気に包まれ、気づくと授業が終わっています。
家庭総合 (2時間)
家庭科の授業では、2時間続きで小物入れ製作に取り組みました。
2枚のフェルトを縫い合わせ、中に物が入れられるような手さげを作ります。
私は誤って一つのフェルトを逆にして縫い合わせてしまったのですが、そういうものだと思うことにして気にせずに作業を続けました。
家庭科の授業もプリントが配られ、生徒一人一人がそれを読んで黙々と作業するスタイルです。
もちろん先生はいるのですが、あまり長々と説明することはなく、生徒に任せるという姿勢を貫いています。
1年で授業が2時間しかないのですから、あまり真剣に教えてもしょうがないという面はありますね。
私は結局完成させることができませんでしたが、「ブランケットスケッチ」という縫い方を学べただけで満足です。
メディアラーニング (1時間)
メディアラーニングはNHK学園独自の科目であり、必修科目の一つです。
教室には黒板の代わりに大きなスクリーンが用意されており、それを視聴することが主な授業内容でした。
私も授業が始まるまでどんな内容を学習するのか予想もつかなかったのですが、5分ほど放送を見てようやく理解します。
「メディアラーニング」は、日本の放送システムや報道の仕組みを知るための授業だったのです。
つまり、NHKの十八番です。
序盤は災害の危険を報道する仕組みなどについて語られていたのですが、後半に入るにつれて徐々に雰囲気が変わってきました。
NHKの最新技術や情報の正確さなど、NHKを賛辞するような解説が増え、受信料の話へも繋がっていきます。
ナレーターが言うには、NHKは受信料を国民から貰うことによって「公平・公正」で「不偏不党」な放送を行うことができるらしいのです。
教室内の生徒はうんうんと真面目に視聴しています。
授業を一言でまとめれば「受信料を払え」でした。
NHKさんも抜け目がないですね。
美術 (2時間)
授業が始まっても教室には私を含めて7人程度しか人がいません。
美術はあまり人気がない科目のようです。
かくいう私も履修したことを若干後悔していたりします。(書道にすればよかった)
チャイムが鳴って1分ほど経ち、先生が教室に入ってきて黒板に何か書き始めました。
どうやら授業内容を3つの中から生徒に選ばせる方針のようです。
挙手によって多数決が行われ、結局は「篆刻(てんこく)」の授業に決まりました。
授業は「篆刻(てんこく)」の説明から始まります。
「篆刻」の歴史は長く、何かに絵や漢字を彫り残すことを総称して「篆刻」と呼ぶようです。
授業ではゴムに何かしらの顔を彫る、というテーマに絞って実践するとのこと。
道具と簡単なやり方が書かれたプリントを配られ、後はお任せという流れです。
私は「鼻セレブ」のウサギを彫り続け、2時間があっという間に流れました。
鼻セレブの彫刻はどこかへ行ってしまったのでお見せできないのですが、それよりこちらのプリントをご覧ください。
これが1日の授業だけのために用意されたプリントだというのですから驚きです。
さらに、授業内容を最初に3つの中から選びましたが、残りの二つの内容についても同じようなプリントが用意されていたらしいです。
全ての授業を受けられなかったことが残念でなりません。
世界史 (1時間)
世界史はごく普通の授業です。
プリントが配られ、授業を聞いて空欄の穴埋めをするよう言われます。
プリントを提出したり採点されることはないですが、単純に学習効果を高めることが目的です。
先生は淡々と授業を進め、教室内の生徒は皆真面目に聞いてプリントの穴埋めをしています。
授業が1年に1度しかないと苦手な科目でも新鮮味が感じられ、どんな人でも真面目に授業を受けるのです。
日本史 (1時間)
日本史の授業も世界史のスタイルと同じです。
大正デモクラシーにおける要点を先生が簡単に説明していきます。
授業内容は既にレポートで学習した範囲内であり、復習としての意味が強いです。
保健 (1時間)
体育の授業もありますが、それとは別に保健の授業があるのです。
世界史や日本史と同じく、教室で授業らしい授業が行われます。
内容は生活習慣について。
先生の講義を聞く形の授業スタイルで、生徒が発言したりといったことはありません。
生活習慣が崩れるとどんな弊害があるのかなど、具体例を踏まえて解説されていきます。
1時間という短い時間の中で少しでも理解を深めて帰ってもらおう、という先生の熱意が感じられました。
あとがき
全9科目の体験談をご紹介しましたが、ご参考になりましたでしょうか。
よろしければ、通信制高校に関する他の体験談もご覧ください。